2026年5月24日(日)
速 報 オールドメディアが報じない、ディープな深堀りニュース( Deep News Network 24h)
政治・経済

日本円は「安全通貨」ではなくなったのか―円安・インフレ・NISAブーム「国民総投資時代」が始まっている

「銀行にお金を入れておけば安心」

そんな時代が、静かに終わり始めている。

2026年現在、日本では新NISAブームが続いている。NISA口座数は2025年末時点で約2826万口座に到達。日本人の4人に1人近くが、何らかの形で投資市場へ参加している計算になる。[野村グループ]

背景にあるのは、”将来不安”だ。円安。物価上昇。老後不安。そして、「現金だけでは資産が守れない」という空気。

「有事の円買い」は過去のものになったか

かつて日本では、「有事の円買い」という言葉があった。戦争や金融危機が起きると、世界中の投資家が円を買った。日本は経常黒字国であり、政治も比較的安定していた。円は“安全通貨”として扱われていたのである。

しかし最近、市場の空気は変わりつつある。中東情勢の緊張が高まった局面でも、資金流入が目立ったのは「金」と「ドル」だった。日本国債の金利は急上昇し、日本円への絶対的な信頼感に変化が見え始めている。[Guardian]

1996年以来の衝撃――国債金利急騰

特に衝撃を与えたのが、日本国債の金利上昇だ。2026年5月、日本の10年国債利回りは2.8%台まで急騰。1996年以来の高水準となった。30年国債も3.7〜3.8%台へ上昇し、一時4%を超える場面もあった。[Reuters]

政府は追加経済対策の検討を進めているが、その財源には新たな国債発行も含まれると報じられている。つまり、日本は今後も借金を増やし続ける方向へ動いている。供給が増えれば、価値は薄まる。これは通貨でも同じだ。

日本人が「円から逃げ始めている」

現在の世界を動かしている巨大テクノロジーの中心に、日本企業の名前はほとんど見当たらない。Apple。Google。Microsoft。NVIDIA。OpenAI。世界の時価総額ランキングを見ても、日本企業の存在感はかつてほどではない。

その結果、日本人自身が「円から逃げ始めている」という見方も出始めた。その象徴が、新NISAだ。人気を集めているのは日本株だけではない。

  • オルカン(全世界株式)
  • S&P500
  • NASDAQ

つまり、「海外資産」だ。

5年で資産が2倍になった人、ほぼ増えなかった人

5年前に1000万円をS&P500へ投資していた場合を考えてみる。株価上昇に加え、ドル円は2021年前後の1ドル103円付近から現在は150円台後半まで円安が進行。資産は2000万円前後まで増えたケースも珍しくない。

一方、同じ1000万円を銀行へ預けていた場合、5年前の普通預金金利は0.001%レベルが一般的だった。数字上ほぼ増えていない。

しかも問題は、「数字上増えていなくても、実質的には減っている」点だ。かつて100円で買えた缶ジュースは、今では160〜180円近くになっている。これがインフレだ。

「海外一択」もまたリスクである

では、「海外投資だけしていれば安心」なのか。実は、そう単純でもない。過去、日本はプラザ合意によって急激な円高へ振れた。1985年当時、1ドル240円前後だった為替は、その後120円台付近まで急激に円高が進行した。

もし今後、何らかの国際協調や市場変動で急激な円高が起きれば、海外資産は為替で大きく目減りする可能性がある。つまり、”海外一択”もまたリスクなのだ。

結局、答えは「バランス」にある

重要なのは”バランス”なのだろう。

  • 金融資産(株式・投資信託)
  • 現金
  • 不動産
  • 外貨
  • 金(ゴールド)

それぞれをどう組み合わせるか。最近では、NISAやiDeCoを始めた若者の中から、「投資はしているのに現金がない」という声も出始めている。将来のために投資をしながら、今の生活を削りすぎる。

投資の複利は確かに強い。だが、人間の経験もまた、人生の満足度へ複利的に積み上がっていく。

円安時代の投資先。その答えは、「海外一択」でも、「現金だけ」でもない。偏らず、生き残る。その”バランス感覚”こそが、これからの時代でもっとも重要になるのかもしれない。

この記事をシェア