2026年5月31日(日)
速 報
仕事・人間関係

なぜ”同じ提案”なのに通る人と通らない人がいるのか

仕事に慣れてくると、提案書や企画書を作成する機会が増えてくる。しかし実際には、良い企画なのに通らない・上司の気分で却下される・同じ内容なのに人によって結果が変わるといった理不尽を経験する人も少なくない。

特に若いうちは「良い企画なら通るはず」と思いがちだ。だが現実の組織では、企画の良し悪しだけで意思決定が行われているわけではない。社内政治・立場・リスク・面子・決裁者の性格・”選ばされている感覚”など、さまざまな心理要素が絡んでいる。

その中で、比較的シンプルかつ効果的なのが、「提案を3パターン用意する」という方法である。

なぜ「一本勝負の提案」は通りにくいのか

提案が通らない人ほど、「自分のベスト案を一つだけ持っていく」傾向がある。しかし相手側から見ると、選択肢が極端に少ない状態になる。つまり相手の心理は「やる・やらない」の二択になる。

この状態だと、少しでも不安要素や懸念があると、人は「やらない」を選びやすい。特に企業組織では”失敗しないこと”が重視されやすい。そのため、尖った企画ほど止まりやすい。

「3つの提案」を出すと空気が変わる

そこで有効なのが、提案を3パターン用意する方法である。

  • Aプラン:自分が最も実現したい本命案
  • Bプラン:相手の要望や立場を重視した安全案
  • Cプラン:あえて極端に振り切った尖り案

この3つを並べると、相手の頭の中は「やるか・やらないか」ではなく、「どれを選ぶか」へ変化する。人は”選択肢を与えられる”と、意思決定への心理的抵抗が下がる。つまり企画を通すというより、”選ばせる状態”を作るのである。

実は「Cプラン」がかなり重要

多くの人はAとBだけを真面目に作る。だが実際には、Cプランがかなり重要になる。なぜなら、Cプランには「Aを現実的に見せる」「Bを安全に見せる」「会議を盛り上げる」「比較感を作る」役割があるからだ。

普通案・少し保守案・とんでも案を並べると、真ん中の案が非常にバランス良く見えやすい。これは心理学でいう“対比効果”に近い。高級レストランで極端に高いメニューを置くことで真ん中の商品が安く感じるのと同じ構造である。

ただし「トンデモ案」は本当に通ることがある

Cプランは本来AやBを引き立たせる役割で作ることが多い。しかし実際には、決裁者によってはその”尖り”に強く反応することがある。特にマンネリを嫌う人・改革志向が強い人・経営者タイプほどC案を好むケースがある。

その結果、「いや、それ本当にやるの…?」という方向へ話が進むことも珍しくない。提案慣れしている人ほど、C案も”実現可能な範囲”には留めている。完全なネタ案にしないのはそのためである。

提案が上手い人は「企画」ではなく「心理」を見ている

企画が通る人ほど、実は企画内容だけを見ていない。見ているのは「相手は何を嫌がるか」「どこで止まりそうか」「誰が反対しそうか」「どの案なら責任を取りやすいか」といった、“人間側の心理”である。

つまり提案とは、単なるプレゼンではない。相手が「これなら選べる」「これなら責任を負える」と思える状態を設計する行為でもある。

「良い企画なのに通らない」は珍しくない

仕事をしていると、良い企画が通らない場面は何度もある。逆に「なんでこれが通るんだ…」という企画が通ることもある。そこにはタイミング・社内空気・上司の立場・予算・決裁者の性格など、単純な優劣だけでは説明できないさまざまな要素が存在している。

だからこそ企画提案に必要なのは”正しさ”だけではない。相手が動きやすい形へ変換すること。そして「やる・やらない」の二択ではなく、「どれを選ぶか」へ持ち込むこと。

提案を通すのが上手い人ほど、実は”企画そのもの”だけではなく、「相手にどう選ばせるか」まで設計しているのである。

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