「銀行に預けておけば安心」
そう考える人は多い。たしかに銀行預金はわかりやすい。元本割れの心配は基本的に少なく、急にお金が必要になったときにも引き出しやすい。株や投資信託のように、毎日価格が上下するわけでもない。
しかし、金利が上がり始めた今、銀行に預けるだけで本当にいいのだろうか。そこで注目したいのが、日本国債である。
2026年6月募集分の個人向け国債は、固定3年が年1.51%、固定5年が年1.86%、変動10年が年1.74%となっている。特に目立つのが、固定5年だ。5年間金利が固定され、年1.86%の利息を受け取れる。銀行の1年定期が年1.2%台であることを考えると、しばらく使う予定のない資金なら、定期預金より個人向け国債の方が有利に見える場面もある。
100万円・250万円・500万円で比べると差はいくら?
実際に3つの資金パターンで、定期預金(年1.20%)と国債固定5年(年1.86%)の利息を比較してみた。タブを切り替えて確認してほしい。
5年固定と10年変動、どちらがいいのか
個人向け国債には、固定3年、固定5年、変動10年がある。
- 固定5年:購入時に決まった金利が5年間続く。今の金利水準をしばらく確保したい人に向いている
- 変動10年:半年ごとに金利が見直される。今後さらに金利が上がれば利息も増える可能性がある
今の水準なら固定5年はかなり見やすい。5年という期間は長すぎず短すぎない。「しばらく使わないお金」を置いておく先として考えやすい。
アメリカ国債との違いは「為替リスク」
もちろん、利回りだけを見ればアメリカ国債も魅力的だ。
2026年6月時点、米国10年債の利回りは約4.5%前後で推移している。日本の国債固定5年(1.86%)と比べると、金利差は2%以上ある。数字だけ見れば、米国債の方がはるかに高い。
しかし、日本人が米国債を買う場合、必ず為替リスクがついてくる。ドル建てで利息を受け取っても、円高になれば円換算の資産は目減りする。たとえば1ドル=160円のときに買い、受け取り時に1ドル=140円になっていれば、利回りで得た分を為替差損で失う可能性がある。
その点、日本国債は円建てだ。日本で暮らし、日本円で生活費を払う人にとって、為替リスクを考えなくていいのは大きい。
国債はすぐ解約できるのか
個人向け国債は、発行から1年間は原則として中途換金できない。つまり、来月使うかもしれないお金、急な出費に備えるお金を入れる場所ではない。あくまで、1年以上使う予定のない余裕資金で買うべき商品だ。
1年経過後に途中換金する場合は、直近2回分の利子相当額に0.79685を掛けた金額が差し引かれる。簡単に言えば「途中で解約すると、だいたい直近1年分の利息がペナルティとして引かれる」と考えればよい。
利息はいつもらえるのか
個人向け国債は年2回、半年ごとに利子が支払われる。固定5年なら、5年間同じ利率で年2回利息を受け取れる。一方、定期預金は商品によって異なるが、1年定期であれば多くの場合は満期時に元本と利息をまとめて受け取る形になる。
半年ごとに利息が入ると、「お金が働いている」感覚がわかりやすい。資産形成を続けるうえで心理的な支えになる。
政府・政党も「国債をNISAへ」という流れに
NISA投資がオルカンやS&Pに割り振られる率が高い現状では、国内の現金資産が海外へ流出していると言っても良い。
国民民主党は、NISAなどの非課税制度を拡充し、国内株式や国債などを対象とした「国内投資枠」を設ける方針を掲げている。背景にあるのは、日本人の資産が海外へ流れすぎているという問題意識だ。政府や財務大臣が前向きに検討をしていると発信しているのを見るに、実現性は高いと考えていいだろう。
国債をNISA対象にすれば、個人は非課税で利息を受け取れる。国は国内で国債を安定的に消化しやすくなる。個人の資産形成でありながら、国内資金を国内に戻す仕組みでもある。
すべてのお金を国債にしてはいけない
ただし、すべてのお金を国債にするのは危険だ。急な入院、事故、災害、冠婚葬祭。人生には、すぐに現金が必要になる場面が必ずある。
目安として、最低でも生活費の3〜6か月分は普通預金など、すぐ使える形で残しておく。そのうえで、しばらく使う予定のないお金を定期預金に置くのか、国債に回すのかを考える。
結局、銀行預金と国債はどう使い分けるべきか
- 銀行預金(普通・定期):すぐ使うお金・生活防衛資金
- 個人向け国債(固定5年):1年以上使わない余裕資金
- 株・投資信託:長期で増やすお金
株は怖い。投資信託もよくわからない。でも、銀行に置いたままではもったいない。そう感じる人にとって、日本国債はちょうど中間にある選択肢かもしれない。
銀行に置くお金、国債で寝かせるお金、投資に回すお金。この3つを分けて考えられる人が、これからの金利ある時代で強くなる。
使用データ(2026年6月時点)
- 定期預金金利:年1.20%(税引後 約0.956%)
- 個人向け国債 固定5年(第183回債):年1.86%(税引後 約1.482%)
- 税率:20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)
- 計算は単純比較(定期預金は毎年同金利で1年定期を繰り返す想定)
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。
📝 編集長メモ
私たちが銀行にお金を預けると、その預金の一部は銀行によって国債などで運用される。そして得られた収益の一部が、預金金利という形で私たちに返ってくる。そう考えると、ひとつの疑問が浮かぶ。それなら最初から銀行に預けず、自分で国債を買った方が良いのではないか。もちろん、国債には中途換金しにくい期間があり、すぐ使うお金には向かない。だが、メリットとデメリットを理解したうえで、定期預金の代わりとして検討する価値は十分にあると思う。
💰 編集長の儲け話
日本円の価値が下がる、つまり円安がさらに進むと考えるなら、アメリカ国債を買うのも一つの選択肢だろう。為替リスクはあるが、日本国債より高い利回りが期待でき、ドル高になれば為替差益も狙える。為替リスクを取らずに定期預金感覚で運用したいなら、日本国債はかなり現実的だ。特に、しばらく使う予定のないお金を普通預金に多く置いたままにしておくのは、個人的には少しもったいないと感じる。すぐ使う現金は銀行へ。しばらく使わないお金は国債へ。為替リスクを取れるなら米国債も選択肢へ。この分け方ができるだけで、お金の置き場所はかなり変わってくる。
※本コーナーは編集長個人の見解です。投資等の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
ご意見・情報提供について
DNN NEWS24では、読者の皆様からのご意見や情報提供を募集しております。記事へのご感想、現場の声、取材希望テーマなどがございましたらお気軽にお寄せください。
ご連絡先:お問い合わせ・取材・タレコミ
皆様からの声が、次の記事づくりの参考となります。
